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2021年11月29日
2022年02月07日労災について
こんにちは。神奈川県福祉共済協同組合の蝦名です。
業務上のケガや病気を政府が補償する労災保険。
適用の対象になるのは労働者であり、基本的に役員や個人事業主は加入できません。
では、役員や個人事業主ができる、業務に起因したケガや病気への備えとしては一体どのようなものがあるでしょうか?
その1つに「労災保険特別加入制度」があります。
しかし、加入時の条件や補償範囲の制限が設けられており、全ての役員や個人事業主にメリットがあるわけではありません。
「労災保険特別加入制度」を利用せずに労災事故に備える場合は、民間の「傷害保険」や「労災上乗せ保険」を利用するといった方法もありますよ。
ここでは役員や個人事業主の方が、業務上の災害に備える方法についてご紹介します。
業務上の災害へ備える手段をご説明する前に、「労災保険」とは何か確認しておきましょう。
労災保険とは「労働者災害補償保険」の略であり、労働者とその家族の生活を守るために設けられた公的保険です。
労働者が業務・通勤中にケガを負った場合や業務が原因で病気になった場合に、必要な保険給付や支援制度を受けられます。
労災保険料を支払うのは雇用主、適用されるのは「労働者」です。
ここでいう「労働者」とは、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、日雇労働者など「雇用されている人」を指します。
雇用形態や雇用期間は関係しません(派遣社員の場合は、派遣元の事業者が加入します)。
一方で、役員や個人事業主は雇用される立場ではないため、基本的には労災保険が適用されないのです。
労災保険については詳しくは「労災保険とは? わかりやすく条件や補償内容、手続き方法を解説!」もご参考ください。
先ほどお伝えした通り、役員や事業主は「雇用されている人」ではなく「労働者を使用する人」にあたります。
そのため、労災保険へ基本的には加入できないのです。
しかし、役員であっても代表権や業務執行権を持たない場合は、労働者と同様に労災保険への加入が認められます。
また、労災保険の対象とならない役員であっても、冒頭でお話しした「労災保険特別加入制度」を利用できる可能性がありますよ。
それぞれ詳しく解説しますのでご確認ください。
取締役、会計参与、監査役、執行役員、理事、監事など、役職名が「役員」であっても実質的な働き方によって「労働者」と見なされることがあります。
「労働者」にあたるかの判断は個々のケースによって異なりますので、労働基準監督署にあらかじめ確認することをおすすめします。
なお、労災保険における「労働者」の基準は次のとおりです。
代表権や業務執行権を持っている役員は労災保険に加入できませんが、条件を満たせば労災保険へ加入できるのが「労災保険特別加入制度」です。
労災保険の対象外でも、労働者と同様の業務を行っている方を保護することを目的としています。
特別加入制度は、「中小事業主等」「一人親方」「特定作業従事者」「海外派遣者」の4つの制度に分かれています。
会社の役員等の場合は「中小事業主等」、一人親方やその他自営業者は「一人親方等」の制度に当てはまることが多いですが、ここではそれぞれの定義や加入要件を見ていきましょう。
「中小事業主等」とは、次の方を指します。
労働者の規定人数は以下の通りです。
【労働者の人数】※工場や支店も合わせた数
加入には、雇用する労働者について、労災保険の保険関係が成立していること、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していることの2つの要件を満たす必要があります。
また、補償内容には制限があり、通勤中の災害は通常と同様に補償されますが、業務中の災害については業務執行権の行使中、つまり役員として業務にあたっている最中の被災は補償されません。
「一人親方等」とは労働者を雇わず自身が業務に従事している次の職種の方を指します。
また、労働者の雇用期間が1年間に100日未満の事業主と、事業主の家族従事者もここに含まれます。
加入には、一人親方等の特別加入団体に所属することが必要です。
「特定作業従事者」は条件を満たして、次に該当すると判断された方をいいます。
加入には、特定作業従事者の特別加入団体に所属することが必要です。
海外派遣者は現地の労災保険を利用することが原則です。
しかし、現地の労災保険では補償が十分ではない可能性もあります。
そこで、次のいずれかに該当する場合のみ、特別加入が認められています。
加入には、派遣元の団体または事業主が、日本国内において実施している事業(有期事業を除く)について、労災保険の保険関係が成立していることが必要です。
中小事業主等が特別加入する要件のひとつに、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託している必要があります。
そのため、特別加入を届出るためには「特別加入申請書(中小事業主等)」を労働保険事務組合を経由して労働基準監督署へ提出します。
「特別加入申請書」には次の内容を記入し、労働保険事務組合からの証明を得ます。
一般の労災保険と異なり、特別加入では希望する給付基礎日額を申請し、申請に基づき労働局長が決定します。
保険料は、給付基礎日額に365を乗じたものに、それぞれの事業で異なる保険料率を乗じて算出します。
特別加入を申請する際は、次の点に注意しましょう。
業務が原因でケガや病気をするリスクは、役員も労働者も同等です。
しかし、労災保険特別加入制度で全ての災害を補償してもらえるわけではありません。
また、中小事業主の場合、保険料と労働保険事務組合の入会金・年会費を支払うと、コストが補償内容に見合わない可能性もあります。
そこで役員の方におすすめなのが、民間の保険会社の「傷害保険」や「労災上乗せ保険」の利用です。
どちらも、役員かどうかに関わらず、業務中のケガや病気を補償してくれます。
ちなみに「労災上乗せ保険」は、労災保険の補償内容をより手厚くするための保険です。
また、万が一、労災事故が起きてしまった際に労災保険では、慰謝料や見舞金をカバーすることができません。
保険会社が取り扱っている商品の中には、それらの補償を追加することもできます。
傷害保険・労災上乗せ保険を利用するメリットは、「労災保険よりも保険金給付までの日数が短いこと」「補償内容を追加できること」の2点があります。
労災保険の場合、申請から給付までの日数は約1カ月かかります。
一方、民間の保険は、支払いまでの日数を「申請書類の到着から〇営業日」と明言している会社もあり、申請から支払いまでのスピードが早いというメリットがあります。
もし傷害保険や労災上乗せ保険を利用するなら、貴社にあった補償内容を選ぶことが重要です。
他に入っている保険と補償内容が重複していたり、保険会社によって補償内容や付帯サービスが違うこともあります。
神奈川県内の中小企業や個人事業主の方は、神奈川県福祉共済協同組合の傷害補償共済Ⅲもぜひご参考ください!
自社に必要な補償がわからない方もお気軽にご相談ください。
貴社の実状にマッチした補償をご案内いたします!
会社役員や事業主の方でも、代表権や業務執行権を持たなければ一般的な労働者と同様に労働保険へ加入することができます。
また、労災保険の対象にならない場合であっても、中小事業主、一人親方、特定作業事業者、海外派遣者のいずれかであれば「労災保険特別加入制度」の利用が可能です。
「特別加入申請書」を労働保険事務組合などを経由して労働基準監督署へ提出することで加入の申請ができます。
「労災保険特別加入制度」も利用できないという方は、給付金を受け取れるのに時間がかからない、補償内容を追加できるといったメリットがある傷害保険や労災上乗せ保険への加入がおすすめです。
役員でもケガや病気のリスクは労働者と変わりませんので、民間保険会社が提供する傷害保険や労災上乗せ保険をうまく活用して、万が一の場合に備えましょう。
神奈川県内の中小企業や個人事業主の方は、神奈川県福祉共済協同組合の傷害補償共済Ⅲもぜひご参考ください!
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