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2021年11月29日
福祉共済ブログ
2021年11月29日労災について
こんにちは。神奈川県福祉共済協同組合の蝦名です。
業務中や通勤中にケガや病気が発生したときは、労災で補償を受けられます。
労災の申請は、被災した労働者本人や遺族が行うこととなっていますが、事業者が代わりに行うことも一般的によく行われていることですので、担当者はいざという時に慌てないよう、手続きの流れを知っておきたいものですよね。
今回は労災の申請手続きについてご紹介。
労災が起こった場合、どのような流れで申請手続きを行うべきか解説します。
労災保険とは、業務中や通勤中、または業務を原因とした従業員のケガ、病気・障害・死亡などに対して補償を行う制度です。
労災認定を受けることで、ケガや病気の治療にかかった費用や休業中の補償給付などを受け取ることができます。
正式名称を「労働者災害補償保険」といいます。
補償の対象となるのは、企業と雇用契約を結ぶ従業員。
正社員、契約社員、パート、アルバイトなどすべての方です。
事業主本人や役員、業務委託契約で働くスタッフは雇用契約の関係ではないため対象外です(事業主本人や役員については、任意で加入できる特別加入制度もあります)。
派遣スタッフの場合は、派遣元の企業からの手続きとなります。
給付の種類は、全部で8つあります。
業務中や業務を原因とした労災(業務災害)については●●補償給付、通勤中の労災(通勤災害)については●●給付、複数業務要因災害に対する給付は複数事業労働者●●給付という名称になります。
【1】療養(補償)給付
労災によるケガや病気が治癒するまでの療養の現物給付、または療養にかかった費用を給付。
【2】休業(補償)給付
労災によるケガや病気の療養により4日以上休業し、給与を受けられない場合に給付。
休業補償についてはこちらのブログでも詳しくご紹介しています。
労災の休業補償を解説!改正部分や給付条件、給付額から手続きまで詳しく
【3】傷病(補償)年金
労災によるケガや病気が療養開始後1年6カ月経過しても治癒(症状固定)していない場合、傷病等級に該当する場合になどに、等級に応じて給付。
【4】障害(補償)給付
労災によるケガや病気によって後遺障害が残ったときに等級に応じて給付。
【5】遺族(補償)給付
労災によって従業員が死亡したとき、生計を一にしていた特定の遺族に対して給付。
【6】葬祭料(葬祭給付)
労災によって死亡した従業員の葬儀を行うときに、葬儀を行うものに対して給付。
【7】介護(補償)給付
労災による障害などで介護が必要となった場合に給付。
【8】そのほかの給付
労働者が定期健康診断(一次健康診断)において脳・心臓疾患に関連する項目に異常の所見が認められた場合に二次健康診断と特定保健指導が自己負担なしで受けられる「二次健康診断等給付」を給付。
次で、この給付の種類ごとに必要な書類と申請についてもお伝えしますね!
労災の申請手続き方法も知っておきたいですよね。
給付の種類ごとに申請期限(請求権の時効)も異なるため、あわせて確認しておきましょう。
従業員・事業者が行う手続きについて、流れの順に解説していきます。
労働災害が発生したら、まずは事業主へ報告します。
申請書類を作成するにあたり、次の内容が必要となりますので、記録しておくことをおすすめします。
原則、労災の申請手続きは、被災した従業員または遺族が行うこととされていますが、申請の方法がわからなかったり、療養のため申請ができない場合などは事業者に相談して、サポートを受けてください。
また、労災によるケガや病気で病院を受診する場合は、労災であることを必ず伝えてください。
労災による治療に健康保険は使えないため、労災認定後に別途手続きが必要となってしまうからです。
労災の申請手続きは、被災した従業員または遺族が行うこととなっていますが、従業員本人ができない場合は事業者が申請を代行することができます。
従業員から労災の報告を受けたら、従業員の負担を減らすためにも、積極的に協力してください。
事業者が申請書類を作成する場合は、従業員からの報告された内容にあわせた請求書を作成し、必要書類とともに労働基準監督署へ提出します。
提出する書類は労働基準監督署や厚生労働省ホームページからダウンロードできます。
従業者が申請書類を作成した場合は、事業主証明欄への署名を求められますので、記載内容が正しいことを確認し、署名してください。
その他、事業主の義務として、労働災害等の原因により従業員が死亡または休業が4日以上となる見込みの場合には、遅滞なく、労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません。
この報告については、必ず事業主が作成します。
労災給付申請の流れとは異なりますが、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理責任によるものですので、忘れずに。
申請する給付内容に合った請求書を労働基準監督署へ提出し、必要な調査を経て労災と認められると給付が受けられます。
給付の種類ごとに必要な書類と申請期限(請求権の時効)は以下の通りです。
業務災害、複数事業要因災害または通勤災害かによって様式が異なります。
労災指定病院(または労災病院)での療養か、それ以外の病院での療養かによって請求書の様式・提出先が異なります。
【労災指定病院(または労災病院)で療養する場合】
療養の現物給付を行います。
治療を受ける労働者は、治療費を窓口で負担する必要がありません。
業務災害・複数事業要因災害:療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書(様式第5号)
通勤災害:療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)
治療を受けた医療機関へ請求書を提出すると、当該医療機関から労働基準監督署へ提出されます。
【労災指定病院以外で療養する場合】
療養にかかった費用を給付します。
治療を受ける労働者は、一旦治療費を全額立て替えて支払います(労災による治療には、健康保険は使用できません)。
業務災害・複数事業要因災害:療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(様式第7号)
通勤災害:療養給付たる療養の費用請求書(様式第16号の5)
労働基準監督署へ請求書と治療費の領収書を提出し、労災が認定されると負担した治療費分が給付されます。
療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年が時効となります。
療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合、休業4日目から給付が受けられます。
業務災害・複数事業要因災害:休業補償給付支給請求書・複数事業労働者休業給付支給請求書(様式第8号)
通勤災害:休業給付支給請求書(様式第16号の6)
休業が長期にわたる場合は、1ヵ月ごとに提出します。
休業はまとめて申請することも可能ですが、請求権は賃金を受けない日ごとに発生し、その翌日から2年で時効となるので注意してください。
労災保険の保険給付は請求に基づいて行われるのが原則ですが、「傷病(補償)年金」は例外で、請求ではなく労働基準監督署長の決定に基づき支給されます。
既に労災保険給付を受けていて、療養開始後1年6ヵ月を経過した日にケガや病気が治癒(症状固定)しない場合、その日から1ヵ月以内に「傷病の状態等に関する届(様式第16号の2)」を提出します。
労災保険では、労災を原因とするケガや病気が完治していなくても、症状が安定し、これ以上は良くも悪くもならない状況を治癒(症状固定)といいます。
その時点で身体に障害が残った場合は障害の程度に応じて年金または一時金が支給されます。
業務災害・複数事業要因災害:障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書(様式第10号)
通勤災害:障害給付支給請求書(様式第16号の7)
提出時には病院の診断書と、必要に応じてレントゲン写真などを添付します。
請求権は傷病が治癒(症状固定)した日の翌日から5年で時効となります。
死亡した従業者の収入によって生活を維持していた特定の遺族に対して支給されます。
業務災害・複数事業要因災害:遺族補償年金支給請求書・複数事業労働者遺族年金支給請求書(様式第12号)
通勤災害:遺族年金支給請求書(様式第16号の8)
死亡診断書や戸籍謄本、生計維持関係を証明する書類、他の年金を受けている場合はそれを証明する書類などを添付して提出します。
請求権は従業員が労災で死亡した日の翌日から5年で時効となります。
葬祭料(葬祭給付)の支給対象者は、通常は葬祭を行うにふさわしい遺族が該当します。
ただし、葬祭を執り行う遺族がなく、社葬として事業者が葬儀を行なった場合は、その事業者に対して支給されることとなります。
業務災害・複数事業要因災害:葬祭料又は複数事業労働者葬祭給付請求書(様式第16号)
通勤災害:葬祭給付請求書(様式第16号の10)
死亡診断書、死体検案書など労働者の死亡の事実および死亡の年月日を証明できる書類を添付して提出します(あわせて遺族(補償)給付の請求書を提出する場合、当該書類が添付されている場合は不要)。
請求権は従業員が労災で死亡した日の翌日から2年で時効となります。
介護補償給付の額は月単位で支給され、障害の程度、介護費用の支出額、親族等の介護の有無などにより異なります。
介護補償給付・複数事業労働者介護給付・介護給付支給請求書(様式第16号の2の2)を提出します。
必要に応じて医師の診断書や介護費用の領収書などを添付します。
1ヵ月ごとに請求するのが一般的ですが、3ヵ月分をまとめて請求することも認められています。
請求権は介護を受けた月の翌月1日から2年で時効となります。
一次健康診断において、脳血管疾患および心臓疾患の発症に関連する項目に、異常の所見が認められた場合、二次健康診断および特定保健指導を自己負担なしで受診できます。
二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に、一次健康診断の結果を添付して、健診医療機関に提出します。
請求は、一次健康診断の受診日から3ヵ月以内に行ってください。
これは、脳・心臓疾患を発症するおそれが高い者に支給されますので、できる限り早期に給付される必要があるためです。
また、1年度内に1回まで請求できます。
請求権は、労働者が一次健康診断の結果を知ることができる日から2年で時効となります。
提出された書類を元に、労働基準監督署による調査が行われ、場合によっては被災労働者や事業者へ調査が入り、労災と認定されると給付が決定します。
請求書類に不備があると、さらに時間がかかる可能性があります。
もしも不支給決定や支給内容に納得ができない場合には、保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に、労働基準監督署に不服申立(審査請求)をすることができます。
業務を原因として従業員の事故や病気が発生した場合、労災保険から補償を受けることができます。
労災の申請手続きは事業者が行うのが一般的ですので、いざという時に慌てないよう、手続き方法や流れを知っておきましょう。
給付の種類ごとに請求書の様式が異なり、すべて厚生労働省ホームページからダウンロードすることができますよ。
給付の種類ごとに申請期限もあるので、気をつけてくださいね。
ケガや病気をした従業員の療養や生活をサポートするためにも、できるだけスムーズに手続きを進めましょう。
社労士または労働基準監督署に確認し、適切な手続きをとってください。
会社の福利厚生として、役員や従業員のための労災の上乗せ補償を準備しておくと安心です。
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