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2021年11月29日
2022年08月10日福利厚生について
こんにちは。神奈川県福祉共済協同組合の蝦名です。
「福利厚生」や「手当」は、求職者が会社を選ぶ際に重視するものの1つです。
どちらも会社から従業員に支給するものですが、それぞれの役割や利用できる条件によっては、入社してから「思ったよりも福利厚生が充実していない会社かも...」という社員の不満につながる可能性もあります。
そこで今回は福利厚生と手当の違いとそれぞれの役割、具体例などを詳しく解説していきます。
福利厚生や手当をしっかりと理解したうえで設定することで、従業員が入社後にギャップを感じることがないようにしましょう。
まずは福利厚生と手当の違いについて詳しく解説します。
「福利厚生」とは、会社が従業員に対して通常の給与にプラスして支給する非金銭の報酬・サービスのことです。
法律で実施が義務づけられた「法定福利厚生」と、企業が独自の裁量で行う「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。
会社で働くすべての従業員が対象となり、対象が一部の従業員に限られているものは福利厚生として認められません。
会社によってはパートやアルバイトの人は対象外としている場合もありますが、パートタイム・有期雇用労働法により、それらの従業員への配慮も求められています。
一方で「手当」とは、給与の他に諸費用として支払われる金銭をいいます。
手当のなかにも、法律で支払いが定められているものと、会社の基準により特定の条件に当てはまる人に限り支給されるものがあります。
法律で定められている手当とは、例えば、労働基準法では会社が従業員に時間外労働(残業)や深夜労働・休日労働をさせた場合は、必ず割増賃金として「残業手当」「深夜残業手当」「休日出勤手当」を支払わなくてはいけないと定めています。
また、役職や職務など業務の内容に応じて支給される「職務関連手当」と、従業員やその家族の生活などに配慮して支給される「生活関連手当」の2種類があり、会社の決めた条件に当てはまらなければ支給されません。
さらに、勤務時間や仕事の成績によって変動せずに、一定額が毎月継続して支給される手当を固定的賃金、変動する手当を非固定的賃金と言い、固定的賃金には「住宅手当」や「勤務地手当」など、非固定的賃金には「残業手当」や「日直手当」などが当てはまります。
手当は原則として給与課税の対象となり、社会保険料や所得税額を決定する際には手当を含めて計算されます。
福利厚生 |
手当 |
|
対象者 |
すべての従業員 |
条件に当てはまる従業員のみ |
種類 |
法定福利厚生 法定外福利厚生 |
職務関連手当(固定的賃金) 職務関連手当(非固定的賃金) 生活関連手当(固定的賃金) 生活関連手当(非固定的賃金) |
課税か非課税 |
法定福利厚生:非課税 法定外福利厚生:課税/非課税 |
原則として課税(例外あり) |
正社員とパートタイマ―や契約社員などの非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の差を禁止する「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、2021年4月より中小企業にも適用されています。
同じ会社で働き、職務内容や責任の程度などが同じであっても、雇用形態が違うだけで、給与が低い、手当が出ない、福利厚生を受けられないなど不合理な待遇の差を解消し、労働者がどのような雇用形態を選択しても納得して働くことができるよう、不合理な待遇差がある場合は改善に向けた取り組みを行う必要があります。
福利厚生と手当の違いについて解説しましたが、実際に何がそれぞれに当てはまるのか。
福利厚生と手当、それぞれの例で代表的なものを紹介します。
法律により支給が義務づけられているのが法定福利厚生です。
従業員を一人でも雇用している場合は必ず導入しなければならない制度です。
雇用保険と労災保険は従業員を一人でも雇用した場合、健康保険については従業員が5人以上雇用している場合に加入義務が発生します。
法定福利厚生とは違い、法定外福利厚生は会社ごとに独自で定めた福利厚生制度です。
転職活動の際に求職者が会社を選ぶ際の基準となる「福利厚生」の有無や手厚さは、この法定外福利厚生のことを指すことが多いです。
従業員が会社に通勤するために必要な電車・バスなどの公共交通機関の定期代や、マイカー通勤者のガソリン代などの「通勤交通費(通勤手当)」は、法定外福利厚生の1つです。
基本的に通勤交通費(通勤手当)は非課税ですが、定期代が1カ月あたり15万円を超えてしまう場合や、自宅から会社までの距離が片道2km以内のマイカー通勤者に対して交通費が支払われている場合などは給与課税の対象となります。
会社から1年に1回や入社の際に、人間ドックや健康診断の通知が届く方も多いでしょう。
従業員の健康を守るため、企業は従業員に対して健康診断を実施することが法律で義務付けられています。
健康管理のために人間ドックや健康診断の受診料金「健康診断の費用」についても、法定外福利厚生として負担する会社が多いです。
健康診断の費用は次の要件を満たさないと、福利厚生費として認められず、従業者に給与課税されてしまいますので注意が必要です。
条件1.全従業員に受診の機会を与えていること
条件2.健康診断の費用は、会社が直接医療機関に支払うこと
条件3.金額が健康管理上必要とされる常識の範囲内であること
その他、インフルエンザ予防接種についても同様の取り扱いとなります。
会社が主催する社員旅行や各種イベントなどにかかる「レクリエーション関連費用」を法定外福利厚生として定めている会社も多いです。
レクリエーション関連費用についても次の要件を満たさないと、福利厚生費として認められず、従業者に給与課税されてしまいますので注意が必要です。
条件1.従業員の福利厚生の目的で実施すること(忘年会などの会食や旅行など)
条件2.全従業員を対象としていること(やむを得ない事情で参加できない場合を除く)
条件3.全従業員を対象に一律に費用負担すること
条件4.支出された金額が社会通念上高額にならないこと
手当の中でも、業務の内容に応じて支給されるのが「職務関連手当」です。
管理職や一定の役職に就いた従業者に対して責任度へ応じて支給される「役職手当(役付手当)」や、特定の職務に対して必要とされる特殊な技術や技能に対する「技能手当」、資格に対する「資格手当」、営業部門に従事する従業者に対する「営業手当」など、複雑性、責任度等に対応して支給される手当をいいます。
労働基準法では、会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員を働かせてはならないこととなっています。
時間外労働を行わせるためには、従業員代表と会社の間で労使協定(36協定)を締結したうえで割増賃金を支払わなければなりません。
この割増賃金が「残業手当」として支給されます。
法律で決められている割増率は次のとおりです。
従業員やその家族の生活に配慮して支給されるのが「生活関連手当」です。
会社が従業員に住宅費用を補助する「住宅手当」は、生活関連手当の1つです。
賃貸物件の家賃の一部を負担する場合と持ち家の住宅ローン返済を補助するケースもあります。
子どもや配偶者などの家族を持つ従業員に対して、会社が支給する手当です。
一般的に家族の人数が多いほど家計への負担も大きくなるため、金銭的な負担を軽減し、安心して働いてもらうことが支給の目的です。
従業員が扶養しているか否かの判断は会社によります。
「福利厚生」と「手当」は同じようで、その内容や役割は異なります。
福利厚生は「従業員全員が平等に活用できるもの」、手当は「条件に当てはまる従業員だけが活用できるもの」で、それぞれが大きく異なるポイントです。
福利厚生や手当を導入することで、従業員の生活の質の向上や仕事へのモチベーションがアップすることにより、離職率の低下や生産性の向上につながるため、自社にとって何が必要かを見極めることが非常に大切です。
福利厚生と手当の違いについてしっかりと理解し、うまく活用していきましょう。
中小企業におすすめの福利厚生については、「中小企業向けの福利厚生をチェック!導入メリットや選定ポイントも紹介」をご覧ください。
神奈川県福祉共済協同組合では、共済に加入すると福利厚生サービスを利用することができますので、検討してみてはいかがでしょうか。
会社の福利厚生として、役員や従業員のための労災の上乗せ補償を準備しておくと安心ですよ。
神奈川県内の中小企業や個人事業主の方は、神奈川県福祉共済協同組合の傷害補償共済Ⅲもぜひご参考ください!