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安全配慮義務とは何かわかりやすく解説!違反となるケースや対策も

2023年09月11日労災について

こんにちは。神奈川県福祉共済協同組合の蝦名です。

使用者として従業員を雇う場合、知っておかなければいけない「安全配慮義務」。

聞いたことはあっても、具体的にどのようなものなのか、どういった場合に違反になるのか、よくわからないということも多いのではないでしょうか。

今回は、安全配慮義務についてわかりやすく解説するとともに、安全配慮義務を果たすためにはどのような対策を行えば良いのかもご紹介します。

安全配慮義務について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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安全配慮義務とは?わかりやすく解説!

安全配慮義務とは、使用者(事業者)が労働者(従業員)の心身の健康と安全を守るために配慮すべき義務のことをいいます。

具体的には、労働者が安全かつ健康に働けるよう、「物理的な職場環境の整備」「事故防止策の実施」「心身の不調に対する対策の実施」などを行わなければなりません。

例えば、職場の安全管理が守られずケガをしてしまったり、長時間の労働により健康被害が出てしまったり、パワハラなどのハラスメントによりメンタルヘルスに不調をきたし、精神疾患を患ってしまった場合など、仕事中に労働者の心身の健康や安全が脅かされるケースは複数あります。

労働者がそのような事態に陥らないよう、使用者は必要な措置、手段を講じる必要があり、法的に義務付けているのが「安全配慮義務」です。

法における安全配慮義務

安全配慮義務は、「労働契約法」に下記の通り定められています。

(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

※引用:「労働契約法」労働者の安全への配慮 第5条

「労働契約法」第5条では、使用者は労働契約に基づき労働者に賃金支払義務を負うほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うことを規定しています。


なお、条文にある「生命、身体等の安全」には、もちろん心身の健康も含まれています。

また、使用者の務めとして、「労働衛生安全法」では、次のように定められています。

(事業者等の責務)
第3条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

引用:「労働安全衛生法」第3条1項

「労働安全衛生法」および「労働安全衛生規則」は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な措置について規定しています。

使用者は労働者にとって快適な環境を実現し、労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保しなければならないとされています。

安全配慮義務違反に罰則はある?

安全配慮義務に違反した場合、「労働契約法」による罰則はありません。

ただし、「労働安全衛生法」には罰則規定があり、例えば、第59条第1項に規定する労働者を雇い入れた際の安全衛生育を実施しなかった場合では、50万円以下の罰金が科せられます(安衛法120条1号)。

また、事業所で労災事故が発生し、その原因として安全配慮義務違反が問われた場合、労働者側から損害賠償請求をされる可能性があります。

この損害賠償額は場合によっては高額になることがあり、労災保険から支給される金額を超えてしまうというリスクがあります。

万が一の際の労災申請については「労災の申請手続きの流れをチェック!注意点や必要書類も確認」もぜひ参考にしてください。

なかには、ハラスメントや内部告発などから訴訟に発展し、ニュースなどで大々的に報道され、企業イメージを大きく損なう、という可能性もあります。

このように、安全配慮義務そのものには罰則がなくても、違反した結果大きな損失が生じる可能性があるのです。

安全配慮義務の範囲は?

安全配慮義務を果たすために、使用者は労働者が安全に働けるような環境整備や、心身の健康を守るための対策を独自に行う必要があります。

具体的には、「健康配慮義務」と「職場環境配慮義務」をベースとした対策を講じます。

「健康配慮義務」とは、労働者が職場で安全かつ安心して働くことができるように配慮することです。

労働災害の防止や労働中の病気を防ぐことを目的として規定されています。

具体的には、労働時間・休憩時間・休日等の労働条件を適正にすること、健康診断やストレスチェックを実施して健康管理をすること、労働者の体調等を配慮した配置をすること、病気やケガをしたときに治療を行うことがあげられます。

健康状態を把握し、健康に配慮することが求められます。

「職場環境配慮義務」とは、労働者が安心して働ける環境を提供するよう配慮することです。

具体的には、室内環境・作業環境の快適化や業務負荷軽減などさまざまな要素がありますが、快適な労働環境を作るにあたり最低限やるべき内容ともいえます。

職場内でのパワハラやセクハラといったハラスメントを未然に防止するための対策を講じることも職場環境への配慮とされます。

安全配慮義務違反となるのはどのようなケース?

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それでは、どのようなケースが安全配慮義務違反となるのでしょうか。

注目すべき点は、下記の3点です。

  • 事業者が対策を講じれば防止できることだったか
  • 事業者が安全配慮義務を怠ったから起こったのか
  • 労働者に過失がないか

もし、労働者の安全が脅かされる事態が起こり、それがあらかじめ予見でき、防止することが可能だったのであれば、安全配慮義務違反に該当します。

安全配慮義務違反についての代表的な判例を確認しましょう。

まずは、安全配慮義務が定められるきっかけとなった「陸上自衛隊事件(最高裁 昭和50年2月25日)」があげられます。

陸上自衛隊員が、自衛隊内の車両整備工場で車両整備中に、後退してきたトラックにひかれて死亡した事件で、国の公務員に対する安全配慮義務を認定した判決です。

判決では、国には国家公務員の給与の支払い義務があるだけではなく、国の指示に基づき公務員が公務を遂行する際は、公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮する義務(安全配慮義務)があり、具体的な内容は、公務員の職種や地位などによって異なるとされました。


また、安全配慮義務は国と公務員との間においても当てはまらないとする理由はないとされました。

次に、「川義事件(最高裁 昭和59年4月10日)」があげられます。

宿直勤務中の従業員が元同僚である盗賊に殺害された事件で、会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとされた判決です。

この事件では、この会社は高価な品物を扱っているにもかかわらず、品物の管理や防犯対策を怠っていたことが問題になりました。

判決では、「会社は従業員1人に社内での宿直勤務を命じたのであるから、宿直勤務中に社内に盗賊等が容易に侵入できないような設備を施し、万一盗賊等が侵入した場合は危害を免れられるような防犯用具を備えて、もし、これらの整備が困難なときは従業員を増員したり、安全教育を行なったり、従業員の生命や身体等に危険が及ばないよう配慮するべきであった」とされました。


よって、会社が安全配慮義務を的確に履行していれば、従業員の殺害を未然に防止でき、会社が安全配慮義務を怠ったために発生した事件であるから、会社は遺族に対して、その損害を賠償する義務があるとされました。

安全配慮義務違反を避けるために企業ができる対策

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それでは、安全配慮義務違反を避けるために使用者ができる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

対策方法をご紹介します。

安全装置の設置やマニュアルの完備

業種によっては、機械などの故障や誤操作による事故を防ぐため、必要な安全装置をそろえる必要があります。

また、設置するだけでなく安全装置が正しく作動するかを常にチェックしておくようにしましょう。

誤操作などの人為的なミスを防ぐため、マニュアル管理を徹底したり、教育環境を整えたりする必要もあります。

労働時間や休暇の管理

過労による労働者の健康被害を防ぐため、労働時間や休暇の管理は必要不可欠です。

厚生労働省は、時間外・休日労働が月80時間を超える月が続くと、健康被害のリスクが非常に高まるとしています。

長時間労働を防ぎ、適度に休暇を取るよう雇用者が管理することにより、労働による健康被害を防げます。

管理監督者は労働時間に関する規定に基づく管理を行わなければならず、また管理監督者自身も労働時間に関する規定を守って勤務することが求められます。

産業医やカウンセラーの設置

産業医やカウンセラーなど、労働者の心身の健康について相談できるプロフェッショナルを配置することも、安全配慮義務違反を避けるための対策のひとつです。

労働安全衛生法では、常時使用する労働者が50人以上の事業場は産業医の選任義務があり、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置も義務付けられています。

なお、産業医の選任義務のない50人未満の事業場では、産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健センター)が労働者の健康管理等に係る業務についての相談やその他の必要な援助の支援をしています。

産業医の職務には、労働者の相談窓口以外にも、健康診断結果の確認、職場巡視、健康・衛生教育などがあります。

カウンセラーのほかにも、メンタルに関する社内相談窓口を設けることも有効です。

健康診断の実施

定期的に健康診断を実施して、労働者の健康管理をすることも安全配慮義務違反を避けるために必要です。

使用者が労働者に健康診断を受けさせることは、労働安全衛生法により義務付けられています。

雇い入れ時の健康診断、年1回の定期健康診断、労働安全規則に定める特定業務従事者に対しては配置換え時および6か月に1回に行う健康診断など、労働者の健康管理に努めましょう。

ハラスメント対策と教育

近年、安全配慮義務違反として多くみられるハラスメント問題。
ハラスメントを放置したとして、安全配慮義務違反に問われる可能性があります。

2022年4月からは労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が中小企業に対しても適用され、パワハラに対する防止措置を講じることが義務化されました。

ハラスメントに関する教育の実施や、ハラスメント防止の社内方針の周知、苦情に対する相談担当を設けたり、被害を受けた労働者へのケアをしたりといった措置を講じる必要があります。

ハラスメントが起こってしまうと、社内の雰囲気が悪化し、生産性が低下したり、離職に繋がったりと、さまざまな悪影響を及ぼします。


日頃から社内のコミュニケーションを心がけるなど、ハラスメントが起きにくい環境づくりを目指すことが大切です。

安全配慮義務を正しく知って対策しよう

安全配慮義務とは、労働者の安全を守るために雇用者側が対策を行う義務のことです。

安全配慮義務は、労働契約法のもとで明文化されています。

事業者には健康配慮義務と職場環境配慮義務があり、労働者の心身の健康に気を配り、快適で安全な職場環境を整えなければいけません。

安全配慮義務違反をした場合の罰則はありませんが、違反したことが原因で労災事故が発生した場合は労働者側から損害賠償を請求されるなど、経済的、社会的に大きな損失が発生する可能性があります。

防止できることだったか、安全配慮義務を怠ったのが原因か、労働者側に過失がないか、の3点が安全配慮義務違反であるかどうかを見極めるポイントです。

労働時間の管理や産業医の配置などを適切に行い、安全配慮義務違反を防ぐための対策を講じましょう。

会社の福利厚生として、役員や従業員のための労災の上乗せ補償を準備しておくと安心です。

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