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熱中症でも労災認定を受けられる?その条件や申請方法もご紹介!

2021年06月21日労災について

こんにちは。神奈川県福祉共済協同組合の蝦名です。

気温が上がってくると気をつけたいのが熱中症です。

近年は猛暑の日も多く、仕事中の熱中症も多く発生しています。

今回は、仕事中に熱中症が起こった場合の労災の扱いについてご紹介していきます。

仕事中の熱中症は労災の対象なのか?

労災保険の給付申請はどう行えばよいのか?

職場で熱中症を起こさないための予防法や対策は?

このような疑問を解決していきます!

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熱中症の症状とその危険性

熱中症とは、暑さにより体内の水分や塩分のバランスが崩れてしまったり、体温調節機能がうまく働かなくなることで引き起こされる不調や症状の総称です。

めまいや倦怠感、頭痛、吐き気などさまざまな症状が起こり、重症のものでは死に至る危険性もあります。

熱中症の症状と重症度

熱中症の症状と重症度は大きく分けて、以下の3段階に分類されています。

【重症度Ⅰ度】軽度

  • 手足のしびれ
  • めまい、立ちくらみ
  • 筋肉のこむら返り
  • ぼーっとする、気分が悪い

【重症度Ⅱ度】中等度

  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 倦怠感、だるい
  • 意識がおかしい

【重症度Ⅲ度】重度

  • けいれん
  • 意識がない
  • 呼びかけに応じない
  • まっすぐ歩けない
  • 体が熱い

軽度の症状が徐々に改善している場合のみ、現場の応急処置と見守りで良いですが、中等度の症状が出現したり、軽度に改善が見られない場合、すぐ病院へ搬送してください。

重度の場合は、後遺症のリスクがありますので、すぐに救急車を呼び、病院での適切な処置が必要です。

職場における熱中症の発生状況

職場での熱中症は、建設業や製造業、運送業、警備業などで多いです。

暑い日に野外での長時間の作業、高温多湿になりがちな閉めきった室内での作業などが原因と考えられます。

厚生労働省の発表(令和2年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況)によると、職場での熱中症による死亡者数は過去10年間(2011~2020年)で年平均21人です。

2020年の死傷者数(死亡および休業4日以上)は959人、うち死亡者数は22人。

近年は猛暑が続いていることもあり、2018~2020年の3年における死傷者数は、過去10年間の47.4%を占めています。

「熱中症」は労災認定を受けることができる?条件と申請方法をご紹介

労働基準法施行規則別表第1の2第2号8で「暑熱な場所における業務による熱中症」は業務上の疾病と規定されています。

仕事中に熱中症になってしまった場合、労災の対象となる可能性があります。

公益財団法人労災保険情報センターによると、仕事中に起こった熱中症が労災として認定されるには、おおむね以下の「一般的認容要件」と「医学的診断要件」を満たす必要があるとしています。

【一般的認容要件】

  • 業務上の突発的またはその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
  • 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
  • 業務に起因しない他の原因により発病(または増悪)したものでないこと

【医学的診断要件】

  • 作業条件及び温湿度条件等の把握
  • 一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温の測定
  • 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断

簡単に言うと「業務を行う環境が暑かったり身体的負荷が高かったりしたことから、熱中症になる危険が高かった」「高温の屋外で休憩時間もなく忙しい業務が続いた」など、熱中症になったことと仕事環境や業務負荷との因果関係が認められることが要件です。

持病の悪化など、業務と関係のない原因による場合は要件に当てはまりません。

そのため、病院にて医師の診断を受けることも要件のひとつとなっています。

業務中のほか、通勤中の熱中症も「労働災害・通勤災害」の対象となる場合があります。

労災保険の申請から給付までの流れ

職場で熱中症が起こった場合は、労災保険を申請し、労働基準監督署に認められると従業員は給付を受けることができます。

申請から給付までの流れは以下のようになります。

【1】熱中症の発生

【2】医療機関を受診

労災指定医療機関なら自己負担なしで受診することができます。

指定外の病院の場合は、一度本人が立て替えて支払いますが、その後全額が支給されます。

業務中に発生した傷病には健康保険は使用できません。

【3】給付請求書を提出

書類の種類は申請する給付の内容によって異なります。

療養補償給付、休業補償給付のほか、障害補償給付、遺族補償給付などがあり、どれも厚生労働省のサイトからダウンロードするか、労働基準監督署から入手できます。

労災指定医療機関を受診した場合なら受診した医療機関へ提出することで医療機関から労働基準監督署へ提出されます。

指定医療機関以外で受診した場合は直接労働基準監督署へ提出します。

また、請求書には記載された事故の発生日時、原因および状況について事業主が証明する欄があり、本人の負担を減らすためにも会社が代理で手続きすることが一般的です。

【4】審査、労災認定

【5】労災保険の給付

労災事故を防ぐため、会社には「安全配慮義務」がある

会社は、従業員が安全で健康に働くために必要な配慮をする義務があります。

これを「安全配慮義務」といいます。

従業員の人数に応じて一定の衛生管理者などを配置し、従業員の健康管理や作業環境・設備の管理、衛生状態のチェックなどを行います。

もし、業務中の熱中症などの労災事故が起きた原因として、会社が安全配慮義務を怠ったためと判断された場合、会社は従業員等から労災保険とは別に賠償責任請求を受ける可能性があります。

労災事故で本人が負担した治療費、休業損害、逸失利益、などを請求される可能性も。

労災事故により後遺障害が残った場合などは、損害賠償金が高額になることもあり得ます。

熱中症の予防や対策をご紹介

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職場の環境や作業状況を整えて、熱中症を防ぐ対策に取り組みましょう。

厚生労働省では「職場における熱中症予防対策マニュアル」を示し、企業での熱中症予防対策を指導しています。

熱中症予防対策の準備

  • 作業場所の暑さ指数(WBGT)を把握する
  • 暑さに応じて作業の中止や休憩ができるような、余裕を持った作業計画を策定する
  • 暑さ指数が基準値を超える場合は、軽減につながる設備対策を検討する
  • 冷房等を備えた涼しい休憩場所、作業場所の近くに氷やシャワー等の設置を検討する
  • 通気性のよい作業着など服装の検討をする
  • 熱中症の防止対策について教育研修を実施する
  • 熱中症予防管理者を選任し、管理体制を整える

暑い時期の熱中症予防対策

熱中症予防対策として準備した上記事項を実施し、測定した暑さ指数に応じて下記のような対策を行いましょう。

  • こまめな休憩
  • こまめな水分・塩分補給
  • 日常の健康管理(前日に睡眠不足や飲みすぎはないかなど)
  • 健康診断結果に基づく人員配置(熱中症にかかりやすい病状がある場合は配置しない)
  • 従事中の健康状態の確認

熱中症予防管理者は、暑さに応じてこれらの対策が適切に行われているか確認。

従業員に異常を感じたら病院へ運ぶ、救急車を呼ぶなど適切な措置を行いましょう。

業務中の熱中症は労災の対象!対策と予防で万が一を防ごう

熱中症は、重症だと死に至る危険もあります。

会社は、作業環境や作業計画を整え、熱中症を予防して安全に働ける環境を作る義務があります。

厚生労働省が示している予防対策などを参考に、熱中症を防ぐ環境作りを進めましょう。

万が一、業務中に従業員が熱中症になってしまった場合、労災の対象になる可能性があります。

熱中症の原因が作業環境や内容だったと認められた場合は労災認定がなされ、労災保険の給付を受け取れます。

社労士または労働基準監督署に確認し、適切な手続きをとってください。

会社の福利厚生として、役員や従業員のための労災の上乗せ補償を準備しておくと安心です。

神奈川県内の中小企業や個人事業主の方は、神奈川県福祉共済協同組合の傷害補償共済Ⅲもぜひご参考ください!

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